面白い話
とある日、小山商店に十四代の空き瓶を持って来た人がいる。
「十四代の瓶、幾らで引き取って貰えますか?」
「茶瓶だから10円です」
驚いた女性は声を荒げたそうだ。
「十四代の空き瓶ですよ!」
店頭担当YNは動じることなく、
「茶瓶は10円なんですよ」と。
女性はその十四代の空き瓶を大切に抱えて帰ったそうだ。
多摩独カタログの会では、[フルブラインド試飲コーナー]がある。ボトルを上まで隠し、ラベルが見えず、抜栓された蓋も入れ替えてある。見た目だけではその酒が何であるか判らない。
このコーナーは参加蔵元の自信作が並んでいる。が、その中に十四代を入れておき、「十四代を当てよう」というイベント企画を併催している。
多摩独カタログの会では、約300名が参加して、この企画に160名が応募して、20名ぐらいが「十四代はこれだ」と当てることがある。強者である。お見事である。私にも判らないのではないか。
そもそもこの企画はラベルに惑わされずに、自分の好きな酒を探そうというものである。が、すっかり「十四代探し」になってしまった。どうにかしないとならない企画だ。
多摩独にも何度かご協力いただいた「神の鼻を持つ」と蔵元に言われる髙橋千秋さんが一石を投じた。十四代の味を知らなければ当てることなどできる筈はない、と。
本丸は本醸造である。調布にある「やきとり川上」では一杯650円(700円になっているかもしれない)である。が、巷ではもっと高いのだろう。そもそも、置いてある料飲店が少ないことは事実。噂の十四代を飲みたくても飲んだことがないという人もいるだろう。
話を戻す。
十四代の空き瓶は、一体、いくらで売れたのだろうか。その謎がひとつ。また、買った十四代の空き瓶は何に使われるのだろうか、ということが二つ目。
ここまで書けばお判りいただけるだろう。空き瓶が動いて、別の酒が入れられて、十四代ですと出されたら、あなたは判るのかという話だ。
ラベルで判断をして、十四代だと言われれば、それが十四代になってしまうのだろうか。それは余りにも残念である。自分の舌を信じて、旨い酒を味わっていただきたい。そのためには種類を飲まないとならないだろう。その度毎に合う合わないを考えなければならない。まさに「酒探しの旅」である。
多摩独カタログの会は、そのお手伝いをする。酒楽会は、その知識と知恵を知っていただく。多摩独酌会はその活動の中で、日本酒の裾野を広げていきたいと考えている。
4月16日(日)、お目に掛かれることを祈念す。
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